税務調査

義父が認知症外来に行く4年前。
夫のところに税務調査が入りました。

これも私たちは、「オレのものはオレのもの、お前のものもオレのもの」という考えの義父が、お金に執着した結果だと思っています。

 

税務調査

調べたいのは不動産の収入申告のことだと。なぜ収入を申告しないのか、というのが調査の目的だそうです。

夫は、アパートの家賃収入を義父に管理されていて、1円ももらっていません。それどころか、家賃が入る口座の通帳やハンコも義父が持っているので、家賃収入がいくらあるのかさえ知らされていませんでした。

そう言っても、税務署はわかってはくれません。

そりゃそうです。
夫名義のアパートには家賃収入があるのですから。

 

3年分の帳簿と通帳

税務調査はいろいろな聞き取り調査から始まりました。
夫は個人事業主で、経理は私の担当です。

最初は本人にしか話せないと言われましたが、帳簿や通帳の管理、確定申告の計算は私がやっていると言うと同席を許されました。

帳簿と通帳、領収書をパラパラと見て、質問されます。

 

机の引き出しやパソコンの中まで

私たちは、自宅の部屋を事務所兼用にしています。

調査官は、私たちの物に自ら手を触れることは決してしないようです。

領収書や帳簿をしまってある机の引き出しを開けて見せるように言われたり、帳簿を付けているパソコンのファイルを開くように指示されました。

デスクトップにあるファイルのアイコンを指さしては、「これはなんですか」「こちらのファイルを開いてください」と、こちらに操作させて内容を見ていきます。

 

日記まで開いて読まれました。

すごく、すごく嫌だった。

 

調査資料

夕方、調査官は通帳のコピーと帳簿類、確定申告書の控えなどを持って帰っていきました。
もちろんその中に不動産関係の書類は1枚もありません。


持って行った資料は、細かく調べてから返してくれるそうです。

 

義父に会いに

後日、調査官が義父に会いにきました。

こっそりのぞいてみます。

どうやら、私たちの言い分を確かめにきたようです。
夫に連絡はなかったので、直接義父に連絡していたのでしょう。

義父には悪いことをしているという自覚がないので、調査官に自分が持っている夫名義の通帳を見せています。
それはそれは自慢げに。

息子に返済能力がないから私が代わりにやってやってるんですよ。ほら、この通帳も息子のですけどね、私が管理してやってるんですよ。


調査官は義父に「自分の収入だけを申告してください」と言っていましたが、義父にとっては全て自分のもの。
『オレのものはオレのもの。息子のものもオレのもの。』ですから。

 

3ヶ月後、書類を引き取りに

税務署から電話があり、調査した書類を税務署まで取りに来るようにと連絡がありました。

年末の12月28日、仕事納めの日に夫と二人で税務署に行きました。
でも、書類引き渡しと今回の調査の結果を説明する場には、本人しか入れないと言われました。

調査の時と同じように、経理を担当していると言っても、決まりだからダメと言われました。説明を聞かなければ、来年からどうしたらいいのかわからなくて困る、と訴えると、

入り口近くにいて、聞こえちゃったら仕方ないよねー

と言ってくれました。

 

修正申告

私たちには、税務署が用意した修正申告書が渡されました。
夫のネット銀行に振り込まれたいくばくかの原稿料を申告するのを忘れていたからです。

数万円の収入漏れに対して、税務署から渡された修正申告書には百万円超の収入に対する追徴課税が記入されていました。

何度計算しても、そんな高額な税額にはならないのですが、ここで争っても仕方ないので言われるがままの金額を支払いました。


でも、家賃収入に関しての修正申告はありません。

どうなるのでしょう。
不安なまま、返された書類を持って帰宅しました。

 

税務署から呼び出し

それから約1ヶ月後の翌年1月、税務署まで来るようにと連絡がありました。

今度は私も一緒に部屋の中に入れました。

 

夫所有の不動産について

まず夫が訊かれたのは、自分が不動産を所有している自覚はあるのか?ということでした。
夫は、2軒のアパートは自分名義で銀行ローンを組んで建てたものだと告げました。
契約書にサインしたり、現地まで行って顔合わせもしたと話しました。

税務署としては、前回調査して義父の確定申告に夫所有のアパートも含まれていることを確認したそうです。
疑うことは脱税ですが、夫自身ではなく義父が代わりに申告して税金も納めているのでそこまで厳しく指導はしないけれど、相続税対策で名義をいじっている人もいるからね、と正しい納税をするようにと念を押されました。
「相続が発生した時は、厳しく見ますからね。」


つまり、

義父は自分の所有していない物件を申告している
夫は自分の所有している物件を申告していない

これがいけないということでした。

当たり前ですよね。

 

正しい納税

たとえ親子でも、税は別人。
義父が夫名義の口座を持っているのも正すこと。

不動産も、銀行口座も、その名義人が確定申告するように、との指導でした。

本当に当たり前のことです。
それを義父に直接言ってもらいたいものですが、税務署としては、義父は払わなくてもいい税金を勝手に払っている人なので調査の対象にはならないようです。
だから、あとは家族で話し合ってくださいね、と。

私たちも、そうしたい。
ですから、正しく申告するようにします、と約束して帰りました。

 

その年の確定申告(1年後)

できませんでした。
税務署に行って話をしたあとも、前年の申告をすることはできませんでした。


義父に何度も話をしましたが、まったく理解してくれず、アパート関係の書類は1枚も見せてもらえませんでした。
確定申告をするための収支や不動産の基本情報がまったくないのですから、計算のしようがありません。

その年は、それまでと同じ自営業の申告だけをしました。

この後の話は、次回の「税務調査、その後」に続きます。