ひょんなきっかけから、無事に義父の運転免許自主返納ができたのですが、その翌日から新たな闘いが始まりました。
身分証明に使えるからと「運転経歴証明書」を作ったのはいいのですが、この免許証そっくりな見た目が義父を混乱させています。
家に帰って義父に見せると、
「おっ!なんだ。免許どこにあった?いやーよかったなぁ。これでまた運転できるな!」
私はこの「運転経歴証明書」を取り上げました。
これで「健康保険証」「介護保険証」と共に、義父母の本人確認証を預かるようになったのです。
新たな闘い
免許証がなければ車の運転をしないからもう安心。
そんなことはありません。
車に乗せない、という新たな闘いが始まりました。
私たちは、できることから気づいたことをやっていきました。
免許返納の翌日、自動車学校に行きました。
まさかと思いますが、義父は高齢者講習を申し込んでいませんよね?
まさかをやる義父です。
講習の予約がありました。
自主返納したので、講習はキャンセルしてください、とお願いしました。
車を処分
偶然にも免許証をなくして5日後(自主返納から3日後)、義父の車は3年のリース期間を終えて返却する予定になっていました!
こんなタイミングになるとは!
なので、免許返納から2日後、義父の車を洗車して車内のゴミを片付けました。
後部ガラスの内側には、高齢者マークがセロハンテープで貼ってありました。
これでもか、というくらい大量のテープで貼り付けてあったので、これをゴリゴリとはがしてキレイにしました。テープの厚みは3センチ以上あって、まるで大きなカプセルトイのようでした。
そこへ義父が帰ってきたのですが、まるでそこに車がないかのように素通りしていきました。
運転しなくなってたった5日。
全く興味がないようでしたが、義父が最後に運転していた車なので、運転席に座らせて記念撮影をしました。
翌日、この車はディーラーに返却しました。
新車は来ちゃったんですけど。
困った。
でも、乗る。
免許証をなくして1週間後(自主返納から5日後)、どうやら免許証を見つけたようです。。。
義母に「免許あるからまだ運転できる」という意味のことを言って発覚しました。
なので、どこにあったのかはわからないけど、義母が取り上げて保管しているそうです。
義母も自主返納には納得していないようなので、早く私が預からないと大変!
その翌日、認知症外来で義父と先生との会話です。
免許返納したんですって?よかったねえ
免許返納したら寂しくなった。でも仕方ないかな。
運転は大丈夫!まだやれる。安全運転だから。
なんだかもう、会話が噛み合わなすぎて、私たち、脱力…
人の車に乗る
玄関のカギを開けて義父が外に出て行ったようなので後を追おうとしたら、10メートルくらい先の道路に停まっていた車に乗ろうとしていました。
それは今まで義父が乗っていた車たちとはまったく違う車種なのに、『クルマ』として認識しているのでしょうか。
傷を付けたりアラームが鳴ったりしたら大変なので、あわてて止めます。
ものすごく怒ります。抵抗しますが、人様のものを傷つけたらいけないので家まで連れて帰ります。
別の日には、家の前の道路に停まっていた車に乗ろうとしましたが、運転席に人がいたのに気付いた義父は、あろうことか助手席に回ってドアを開けてしまいました。
慌てて引き留めて、運転手さんに手短かに説明して謝って、抵抗する義父を家まで連れて帰ります。
自転車に乗る
今までどこに行くのも車に乗っていた義父が、徒歩で移動するようになって困ったらしく、自転車を買ってきました。
まさかの行動力です。
様子を見ていると、フラフラとこいでいます。危ないです。
義父のように身体的に問題ない人が行動半径を広げる道具を持つのは、行方不明になる危険が増してきます。
行くだけ行って、帰ってこられなくなると困るので、自転車の防犯登録証を写真に撮っておきました。
そして、
自転車も保険に入ってないと乗れないんですよ
この自転車は保険に入ってないので乗らないでくださいねー
と、呪文をかけておきました。
フトンに乗る
夜中の2時過ぎは、危険な時間帯です。
病状が進み、せん妄状態の義父が行動し始めるのがこのくらいの時刻なのです。
ある夜、義父の寝室からバッタンガッタンと音がするので見に行くと、丸めた敷き布団にまたがっていました。
エンジンがかからねぇ。まいったなぁ。
もう来ちゃうなぁ。
布団にまたがって、つま先で蹴って進んでいます。
床に置いてあるものを蹴散らし、階段に向かっています。
落ちる前に止めなくてはなりません。
私は後ろから布団を引っ張り、夫は義父を抱えて引き戻しました。
常に義父を見張らなくては
24時間危険な状況になりました。
義父は玄関の壁にキーボックスをつけています。
そこを開け、ガチャガチャ ガチャガチャとカギを探します。
1時間でも2時間でも。
もう、途中からは、何を探しているのかわからなくなっているようでしたが、それでもガチャガチャとカギをいじっています。うるさくてイライラしますが、その音がしている間は義父が家にいる証拠です。
静かになったら、外に出ているかもしれないので、仕事や家事の手を止めて玄関まで見に行かなければなりません。
よその人に迷惑をかけそうな時は、羽交い締めにしてでも連れて帰ります。
そして夜。
義父の部屋から物音がしたら覗きに行かなくてはなりません。
布団に乗ってみたり、あらゆるところを引っ掻き回して私が預かっている免許証を探していたりしているかもしれません。
義父がケガをしないように、睡眠をしっかりとるように注意が必要です。
義父の隣室で寝ている義母は、義父が起きて出かけようが騒ごうがまったく気にしないので、夫と私は常に物音に注意しています。毎晩気を張っているので、とても疲れますが仕方ありません。