とうとう免許証自主返納ができました!
我が家の場合は、運転試験場の職員の方々のおかげです。
本当に皆さんには助けていただきました。
再度、運転免許試験場へ
一晩中騒いだ義父は、翌日も早朝からイライラと騒いでいます。
これでは体にも悪いし、私たち家族も義父から目が離せず大変です。
夫と私は仕事を休んで義父を運転免許試験場へ連れていくことにしました。
私は何度か試験場まで車で行ったことがあるので運転を、夫は駐車場が一杯の時の義父付き添い担当に。
支度をしていると、なんと義母まで一緒に行くと言い出しました!
面倒くさがりの義母にとっては、こんなことはめったにないことです。
今度は四人で、運転免許試験場へ向かいました。
運転免許試験場に到着
駐車場から試験場へは少し坂道を上って500メートルくらいです。
義父ははやる気持ちからか(道はわかっていないのですが)駆けるように向かいます。夫が後を追いかけます。
義母は膝が悪く、ゆっくりと私と歩きます。
どんどん差が広がっていきます。
構内に入ったところで、もう義父の姿は見えません。
義母は心臓も悪く、外のベンチに座り込んでしまいます。
ここで待ってると言い出します。
困っていると夫が一人で戻ってきて(窓から私たちが見えたらしい)、義母に買ってきてくれた水を飲ませます。
ここで選手交代です。
認知症は実の子にキツく当たることが多い症状です。息子の嫁である私に対しては、まだ少しの遠慮があります。
義母を夫に任せて私は建物の二階へと急ぎます。
受付係の方々の連携プレー
受付の窓口が並んだホールに義父の姿がありました。
私が駆け寄ると顔つきが変わります。すがってくる顔です。
どうしたの?
どっかの機械に番号入れろって
どこに行けばいいんか
機械ってどこだ?
そっかー、あれかな?行ってみようか
と穏やかに話しかけて落ち着かせようとしていると、
後ろからダーーーッと女性職員が走ってきました。
ご家族のかたですか!?
はいそうです
お父さん、昨日も来ましてね、何だか様子が変で
すみません、ご迷惑おかけしたみたいで
いえいえ、そうではなくて、きっと明日も来るねって職員みんなで話していたんです
え
失礼ですけど、話が通じなくて、おっしゃることもわからなくて
病院って行ってますか?
はい、認知症と診断されています
やっぱり…今、窓口にいらしたので引き留めるために暗証番号の入力をお願いしたんですよ
昨日窓口から連絡を受けましてね、みんなで引き留めてる間にご家族に連絡しようと作戦を練っていて
ありがとうございます!
返納させたいんですけど本人がどうしてもきかなくて、困っていたんです
助けてください
ご家族がそう言ってくださってよかったです
相談室があるので、そちらでお話できますか
相談に乗ってくれる
別室に案内されて、私にだけ話を聞いてくれました。
義父には職員の方が付き添ってくれています。
こうやって認知症患者の現状を話すとき、本人に聞こえないように配慮してくれたことはとてもありがたかったです。
病院でもケアマネジャー相手でも、本人の前では言いづらいものですし、それを聞いた患者本人との関係が悪くなってしまいます。
職員の方の話では、
昨日は受付を4回した
その前にほかの窓口にも行っていたようだ
「免許は家にある」「なら再発行はできません」とか
「免許をなくした」とか
「提示した保険証が有効期限切れ」(ちょうど新しい保険証に変わったタイミングでした)とか
そのたびに違う話をしたらしく、係で要注意となっていたそうです
このまま再発行するわけにはいかないんです
と話してくれました。
専門の係で話をしましょう
今、母も来ているのですがちょっと具合が悪くなって外で休んでいます
夫が付き添っているので、二人に連絡してからでいいでしょうか
もちろんですよ
ご家族皆さんで来てくださってよかったです
神様がキター!
とうとう私達に神様が降りてきてくれました。
免許証返納の専門相談の方のところへ行きました。
まずは夫と私だけが相談室に入ります。
義父母は待合室で待っていてもらいます。
認知症の診断を受けているか、
家族は運転を続けさせたいか、
などの質問をされて、いろいろと説明してくれました。
昨日の言動から判断すると、今日再交付しても『免許取消処分』をするしかない状況であること、自主的返納をすれば証明書の発行もできること、義父母には警察や法律の立場から説得してくれる、ということでした。
私たちのところに神様が来てくれました!!
とっても大きな体の、優しい制服お巡りさんでした!
この後、今度は義父母だけが相談室に入ります。
しばらく説得してくれたあと、お巡りさんが出てきて
私たちに
『自主返納する、といってくれましたよ』と教えてくれました。
免許証返納
やっと、やっとの運転免許の自主返納です。
私たちも相談室に入って、手続きを始めます。
普通、自主返納するときは本人の免許証があればよいそうですが、義父は免許証を紛失しているので、私は健康保険証を持っていっていました。
保険証で本人確認ができたので、義父の運転免許に関するデータを紙で出して確認してくれます。
その時に、義父の違反歴データが見えました。
周りには無事故無違反だと威張っていたけど、うわーーーというくらい違反してました。
バスでの事故が数回。人身事故もありました。軽く当たっただけでケガをさせていなかったのが幸いでした。
歳をとってからは、田舎でスピード違反、逆走、一時停止無視。
自宅周辺でも自損事故を起こしてましたし。
そして、特に何か書類を書くこともなく、警察官がパソコンに何やら入力すると、上の写真のように『申請による運転免許の取消通知書』が手渡されました。
これで義父の運転免許は取り消されました!
運転経歴証明書
運転免許を自主返納すると、『運転経歴証明書』という写真付きの免許証に似たカードを作ることになりました。
これは任意でしたが、試験場で写真を撮って、即日交付できるというのでお願いすることにしました。
手数料が1,100円かかりますが、これは後ほど義父の本人確認書類として使えて便利でした。
実は、これがまた別の騒ぎも引き起こすことになるのですが。
義父母の思惑
運転経歴証明書の交付を待っている間や、帰りの車の中で義父母がコソコソ話しているのが聞こえます。
ふたりは、この場をやり過ごせばいいと考えているようでした。
試験場の警察官は私たちと同じ考え方で、義父の運転をやめさせようとしているから、ここでは『ハイハイと言うことを聞いていればいいから』といっています。
あとで取り消せばいいんだ、そうすれば運転できるでしょう、というようなことを言っています。
残念ながら、それはできません。
どうしてももう一度運転したければ、いちから学科と実技の試験を受けなければなりません。
義父母はなんでも自分たちのやりたいようにできると思っているので、このことも軽く考えていたのでしょう。
他人が、しかも警察官が、運転はやめてくださいと言っていることをまったく理解しようとしないのは、認知症の症状なのでしょう。
もの忘れだけが認知症の症状ではありません。
こういった、『状況を認知できない』ことが、これから更に私たちを苦しめることになるのです。