税務調査、その後

前回のお話
夫がローンを組んで建てたアパートが、義父の勝手にされています。
夫名義の口座も義父の手にあり、義父の収入として確定申告されていました。
不動産収入を申告していないとして夫に税務調査が入りましたが、義父が納得しないので正しい申告ができないまま年月が過ぎていきました。

 

税務調査のあと

その後も不動産所得の確定申告はできないままでした。
すると税務調査から3年後、夫に電話がありました。


「確定申告の是正がされていないようですが、どのような状況ですか。」

 

その後の申告(3年後)

父から情報をもらえないのでできない状態が続いています。
いくら話しても、何が悪い!オレが代わりにやってやってるんだ!税理士もこれでいいと言っている!
と、聞く耳を持たないのです。

「そうですか、それではまた、調査に伺うかもしれません。」


そんな電話の後も、義父は頑なに資料を見せてくれませんでした。義父が申告を正さなければ、所得税を二重に払うことになってしまうと言っても、これでいいんだ!の一点張りです。

仕方がないので、手の届くところにあるだけの不動産関係の書類をこっそり持ち出してコピーを取りました。
でもまだまだ足りません。

そして年末、また税務署から電話があり、今年の申告から義父と夫をそれぞれ分けるようにと言われました。

でも、できませんでした。
義父が握っている資料がなければ無理なのです。
この年も、確定申告は正せないままです。

 

税理士は誰?(4年後)

翌夏、税務署から手紙が届きました。

正しい納税をするようにという指導です。
これをコピーしたものを義父に見せて、だから申告の資料を貸してくれと頼みましたが決裂。大喧嘩になってしまいました。

それでも食い下がって頼み、なんとか、どうでもいい中途半端な資料だけを借りることができました。まあ一歩前進でしょうか。

そして1ヶ月後、また税務署から手紙が来ました。
不動産物件は名義人が正しく申告するようにと。
過去の分も修正が必要ですよと。

翌日、夫が電話をすると、アパートの収入や銀行口座は名義人で申告するようにと言われました。
そして、義父の税理士と話がしたいと言われました。

義父にそう伝えましたが、まったく理解してくれません。これでいいんだ、の一点張りです。
どこの税理士に頼んでいるのか聞いても教えてくれません。


夫が税務署に電話をして相談しました。
すると、

「今年の分から、間違いなく正すように。
そして、方向性が決まって、各所話し合いできたら、また電話するように。」

と言われました。

 

ひょうたんから駒

そして秋。
義父が何事かイライラしているので様子を見ていると、借金返済の支払いがうまくできなかったようです。ATMの操作でつまづき、どこからどこへお金を移動するのかわからなくなったようでした。

仕方がないので、翌日私は仕事を休み、義父の代わりに銀行を回ることにしました。
まったく!こんな時は頼むくせに。私たちの頼みには耳も貸さないくせに!と、少々ムッとしながら出かけることにしました。


ところが、これが転機のきっかけだったとは!
何冊も通帳とカードを預かると、その中に夫名義の通帳があったのです!
しかもアパートの家賃が振り込まれ、銀行へローン返済している通帳です。

ようやく、ようやく取り戻しました。

転機は他にもありました。
この月に、義父は認知症外来へ通院を始めたのです。

 

不動産ローンの口座

通帳を見ると、残高が返済額に満たない月が何回かありました。
義父が家賃が入るとほぼ全額下ろしてしまっているのです。
その後また返済額を入金しています。無駄な出し入れです。その度に手数料がかかっているのですから。

そして、返済日に間に合わず、数日後になっていた月もありました。
なので私たちが使う目的では、振り込まれる不動産収入には1円も手をつけないようにしました。

義父の借金返済に足りない分は、夫の口座から義父の口座へ振り替えることにしました。一切現金には触れず、記録を残すことにしたのです。

 

不動産屋に行く

12月になって、私たちは仕事を休み、義父母と一緒に泊まりがけで田舎に行くことにしました。

アパートの管理を依頼している不動産屋に行きました。1棟目の売上と経費は義父に、2棟目の売上と経費は夫にと、ちゃんと分けてほしいとお願いに行くためです。
税務署から是正するように指導があったので来年分からきちんとしてほしい、とお願いしたのです。
なんとなく私たちを信用してもらえていないように感じましたが、今回は話ができただけで良しとしました。

 

不動産屋から電話

年明けすぐに不動産屋の社長夫人から電話があり、義父との金額配分を決めてくれと言ってきます。どうやら経理を担当しているようです。

配分ではなく、1棟目の賃料は義父に、2棟目は夫に、と何度言っても理解してくれません。こんなに単純なことなのに。
しかも、不動産屋が肩代わりした修繕費を義父が支払わないので、家賃から10万円を天引きして預っている、と驚くべきことをいうのです。

私たちはそんなことにはならない、夫の物件の修繕費は賃料から相殺してかまわないと何度言っても信じてくれません。
きっと義父は、不動産屋にも息子の悪口を言っていたのでしょう。

ただ、年末に行った時に税務署からの指導だと言っておいたので、今までの状況を税務署が問題視しているというのはわかっていたようです。きっと自分の会社に調査が飛び火するのを避けたかったのでしょう。

でも、なぜ分配などという言葉が出てくるのか。
よくよく聞いてみると、不動産屋はアパートを一括借りしてリユースしていたそうです。それも義父の物件と夫の物件を一緒にして。それにしたってそれぞれの賃料からわかりそうなものです。

結局、今までの合計賃料を義父1対夫3にしました。
天引きの預け金は、仕方ないので今年1年はそのやり方を続けることを了承しました。

 

義父の税理士(5年後)

1月から不動産収入が正しく振り込まれ始めました。


でも、今年申告するのは昨年1年間の収支です。
昨年1年間は、アパート関係の領収書などはすべて義父が持っていて、毎月義父が税理士に届けていたはずです。


そんな折、税理士から資料が足りないと連絡が来ました。義父は言われた書類をメモしてそれを私に見せて言いました。

これ、お前のところにあるか?税理士に持って行ってくれよ。

・A銀行 夫の通帳
・B銀行 夫の通帳
・義父の源泉徴収票
・A銀行 義父の通帳

源泉徴収票は昨年中に郵送されてきているはずですが、義父の郵便物を私が持っているはずがありません。


「夫の通帳は持って行けませんよ。お義父さんの通帳はコピーしましょうね」と答えておきました。

何を言っているんだか。
夫名義の通帳は渡さない。来年からこっちで申告するのですから。

やっと不動産に関係する銀行の通帳を取り戻したのです。義父の申告をする税理士には渡しません。

義父は、税理士に電話します。夫の通帳は持っていけないと伝えてくださいと頼み、そばで聞いていることにしました。でも、義父本人が納得していないことなので、何を話しているのかわからなくなり、夫に「代われ」といいます。

夫が代わって話しますが、相手のあまりにも失礼な物言いに怒り始めました。スピーカーで聞いていた私も怒ります。

相手は、夫が働いていないし収入がないから申告などしたこともないくせに、とバカにしたのです。

たぶん、ここでも義父が夫を貶めていたのでしょう。
息子は収入がないんだからオレが代わりに払ってやってるんだ、と。


そんなことはない。仕事をして青色申告で確定申告もしている、というと、

税理士は、「そうは聞いてませんよ。だったらなぜ私に持って来ないんですか?」

妻が経理をやって申告もしていますよ。と言えば

税理士は、「だって私が申告書を作ってないんですよ?素人ができるわけないでしょう!」


なぜそう言えるんですか?日本中の人間があなたに頼んでいるわけじゃないでしょう。父の申告も、他の税理士に頼んだっていいのですよ。

税務署からの指導内容を伝えても理解しないので、なぜかと問い詰めると、

「私はただの事務員ですからっ!そんなの関係ないんですよ!前の年と同じことをしてるだけですからっ!」


びっくりしました。義父が税理士だと思っていた人間は、資格ももっていない、税理士事務所に勤める事務員だったのです。

 

不動産収入の確定申告をする

この件であまりにも怒った夫は、不動産分も申告すると言い出しました。

え。今から?実務は私なんだけど。
準備や勉強が必要なのに。

もともと私は、簿記や経理はまったく知りませんでした。
夫の確定申告をするのも一から始めて、参考書を買ったり税務署の勉強会に行ったりしてなんとかやっていました。

それでも仕方ありません。毎日仕事と家事、介護以外の時間に作業しました。
ほとんど寝る時間もなく、3週間で申告書を作りました。


義父の前年の申告書控えをコピーして、それを手本にしました。わからないところは税務署に行って教えてもらったり、何度も電話して教えてもらいました。


そして3月13日。税務調査から5年後。
とうとう確定申告を提出しました。
不動産分をざっくりとした数字で提出しました。

不動産経費の現金払い領収書や義父の口座から振り込んだものは夫の経費にできなかったので、所得は実際よりかなり高くなりましたが、これで良しとしました。

税金を多く払う分には、調査の対象にはならないらしいので。

 

にせ税理士と縁を切る

翌年も、義父の申告は偽税理士が続けました。
義父は自分で領収書を届けていたみたいです。


その後は偽税理士との契約を打ち切らせました。
これは違法行為だからです。
納得しない義父には、年間かなりかかる税理士費用がタダになりますよと話を持って行きました。
なぜなら、義父の申告も私が引き受けたからです。

ああ、たいへん。