新しいコピー機を買うぞ

一般家庭の茶の間にはそぐわない大きなコピー機。
いろいろできるから、複合機っていうんですって。

会社やコンビニにあるコピー機を想像してください。

 

新しいコピー機を買うぞ

義父が新しいコピー機を買おうとしています。

今あるコピー機は2台目。
義父は3台目を買おうとしているところです。


まずは順を追って、我が家のコピー機の歴史を。

 

初めの複合機・1号

複合機がうちの居間にいつからあったのか覚えていませんが、義父がワードプロセッサで書類を作っていた頃だと思います。

義父が参加している会の方に配るため、作った文書をコピーしていたのです。

 

リース契約

複合機1号はリースでした。
それに気付いたのはずいぶんたってからです。

コピーしたいものがあって義父に頼んで1枚だけコピーさせてもらった時に、カウンターが付いているのに気付いたのです。
もともと私は事務職でしたから、こういう複合機は会社で使い慣れていました。

そういえば会社と同じです。
使用量によって料金を払うリース契約です。
保守料金込みのリース契約なので、メンテナンスやトナー交換でしょっちゅう業者が来ていました。

 

次の契約

複合機1号のリース契約が終わりに近づき、営業マンがやってきました。代わりのコピー機の契約を勧めに来たのです。

 

2台目の複合機・2号

今思えば、この頃には義父のコピー病が始まっていたようですが、注意すれば喧嘩になるので放っておいた時期に当たります。

義父は私たちが知らぬ間に、新しいコピー機の契約をしたようです。

ある日、仕事から帰ると新しい複合機が居間にあります。
また5〜6年のリース契約をしたのかと思うと、ゾッとしたのを覚えています。

 

高性能複合機

機種はBiz hub 162f。
当時の価格はなんと58万円!!!
搬入費が23,500円でした。

パソコンで作った文書をそのままファックスできるペーパーレスの優れものです。

でも。
FAXの紙が惜しくて電話線を抜いている義父。
インターネットを使えない義父。

ほんとにそんな高性能なコピー機が必要なんですか?

 

3台目のコピー機を買うぞ

複合機2号がうちに来て5年、リース期間も終わりに近づいたと思われる頃、営業マンが頻繁にやってくるようになりました。

今度も、更に高機能の最新機種を勧めてきます。

 

保証人になれ

しばらくすると、義父は夫に保証人になれと言い出しました。
それはそれはニコニコして。

営業マンに、高齢の義父一人では契約はできないと言われたようです。

保証人だった

営業マンの説明に私たちは驚きました。
複合機2号の契約は、夫が保証人になっていると言うのです。

夫には保証人になった記憶はありません。
他の誰かが夫になりすまして署名していたようです。

実は、義父が画策した夫のニセ署名は、他にもたくさんあったのです。

 

売りたい買いたい

もういらないと断ると、私たちがいない時に営業マンを呼ぶようになりました。

営業マンは売りたい。
義父は買いたい。
双方の思惑は一致しているのです。

反対しているのは私たちだけ。

 

保証人にはならない

払う気のない義父のための保証人には絶対になりません。
これまでも、簡単なものから重大なものまで、夫ではない誰かが書いた夫の署名というものはあったのです。

しかもこの頃には、私たちは義父が認知症を発症していると考えていました。
営業マンにもそう伝えました。

支払いしないと思うよ、と。


渋々売るのを諦めた

義父も営業マンも諦めたと思っていました。
だって、保証人がいないのですから。

ところが義父は、交換用のトナーを買っていました。
私たちのいないところで購入していたのです。

新しい複合機を契約しないのなら、今の2号をトナー交換して使うと考えたようです。

 

代金はやっぱり払わない

営業マンは来なくなりましたが、購入したトナーは使っていますから請求書は届きます。

義父は請求書をしまい込みました。
督促状が来ても知らん顔です。

この頃は、「わかっていてとぼけている」のか、「買ったことを忘れている」のか、はたまた「トナーってなぁなんだ?」なのか、私たちにも判別が付かなかった時期です。

 

だから言わんこっちゃない

だから売るなって言ったのに。

そのうち、コピー会社から夫に電話がかかってきました。
複合機2号の保証人は夫だからです。

夫は電話相手に言いました。


このトナー代金は払います。
でもね、父は支払いしないから売らないでとお願いしたんですよ。はいはい、わかりましたと営業の○○さんは納得されていたんです。
僕の知らないところで勝手に売って、保証人だから責任取れはないでしょう。

使ってしまったトナー代は僕が払います。
でも、もうこれ以上売り付けないでください!

 

夫あてに督促状がきた

その後、郵送された督促状の宛名は夫になっていました。

いちばん悔しかったのは、ポストからこの督促状を取り出した義父がニヤニヤしながら言った言葉でした。


おい!コレ来てたぞ。督促状って書いてあるじゃないか。
払うものはちゃんと払わねばダメだぞ!