免許返納~その4~味方はいない

味方はいない

ところが、本当に免許返納は難しいです。


義父本人は返納する気がないのですから、周りが説得していかないとなりません。

でも私と夫以外に、義父の免許返納に味方してくれる人がいないのです。

 

義父と義母

まず、義父本人は運転に自信たっぷりでやめる気はありません。
認知症外来で医師から運転はやめるように言われても、車がなくちゃ仕事にならない、と反論しつづけるだけです。

そして義母は、自分が不便になるからやめさせたくないようです。
私たちに頼むより義父に運転させたほうが便利ですから。

それに、義父母は私たちにいろいろと隠し事をしているので、自分たちだけで行動できないと都合が悪いのでしょう。

 

カギを隠しても

義父の異常行動が増えてくるにつれて、事故を起こす危険性は増してくるばかりです。
私たちは、車のカギを隠してみました。物理的に乗れなくしようと思ったのです。

こっそりと車のカギを隠すと、義父は何時間でも家中を探し回ります。
引き出しや本棚や納戸の中まで、中の物をひっくり返して探しています。
気持ちはもう出かけるところなので、玄関ドアは開けたままです。

そして、狂ったようにわめき散らします。

どこに行きたいのですか?送っていきますよ、と声をかけても何も答えません。
どこに行くつもりだったのか義母に聞くと、近くのコンビニに行くと言っていたと教えてくれました。
歩いても50メートルもありません…。何か重いものを買いたかったのか聞くと、コピーをしに行きたかったようです。家のコピー機はすっかり壊れてしまったので、コンビニでコピーしたかったようです。

 

運転させない私たちは悪者

そんな状態が続くと、車に乗せない私たちがいかに悪人かと、知り合いや親戚に言いふらし始めました。この頃の義父の認知症は、他人の前では取り繕える段階だったので、気づかない人も多かったころでした。

あいつらがオレの車のカギをなくした
あいつらがオレの車を勝手に使っているからオレが使えない
あいつらはオレの車を隠している
あいつらがオレに運転させないようにしている


それでも、私たちは、通院には仕事を休んで付き添うようにしました。

買い物はまとめ買いを私たちと一緒に出かけ、細かなものは義母の運動を兼ねて近くの商店で済ませられるようにしました。

それでも。

運転をやめさせようとする私たちは悪者。

どんどん関係は悪くなっていきます。

 

義父に運転させる義妹

一緒に説得してもらいたかった義妹夫婦は、義父の認知症を『軽い物忘れと同じ』と甘くみていて、危険だということをわかってくれません。

やめさせるどころか、2時間かかる義妹の家まで車で遊びに来てほしいといってきます。

この頃の義父は、何度も行ったことのある道を2度3度迷うようになっていましたが、義妹には笑い話にしかならないようです。
「お父さん、道間違えちゃったのよ〜。いつもの道なのにね」と笑って教えてくれたこともありました。

義父は、暗くなると余計にわからなくなるらしく、何度も迷った挙句、4時間かけて夜中に帰ってきたこともありました。


そのあと、義母はテレビショッピングで見かけた、小さな手のひらサイズのカーナビを買っていました。
義父には使い方がわからず、またもや夜中まで「わからねえ、わからねえ」といじっていました。
こんな時だけは頼ってくるのが決まりの義父ですが、さすがに車の運転を反対されている手前、私たちに使い方を聞いてくることはありませんでした。

このカーナビは、使われることもなく義父の布団の隙間に押し込められていきました。

こんな状態の義父に運転は危険なんだと私たちがいくら説明してもお願いしても、義妹は義父に運転させ続けました。


私たちには、味方になってくれる人がいなかったのです。