そうこうするうち、義父の車に小さなキズがつくようになりました。
どこかにこすったり、縁石に乗り上げたりしたのでしょう。
変だな、気を付けて見ていないといけないなーと感じ始めたころです。
危険運転の始まり
車に傷を付けているということは、安全な運転ができていないということです。
縁石程度ならまだしも、他の車や自転車、歩行者に当たったら、と考えると本当に怖いです。
まだ、認知症外来には通院していない頃のことです。
義母も義妹も親戚も、義父が車を運転していることにまったく不安を持っていませんでした。
オレの車はどこだ!
運転中の異常行動も目立つようになりました。
スーパーの駐車場で、一度停めても違う場所に停め直すのです。
はじめは入り口に近い場所に停め直しているのかと思ったのですが、どうも違うようです。
日を追うごとに、何度も何度も違う場所に停め直すようになりました。
義母と私が買い物をしている間、ずっと駐車場で入れたり出したりを繰り返すのです。
なぜだかはわかりませんが、こうした理解できない行動も増えてきました。
そのうち、ショッピングモールの立体駐車場で、停めたところがわからず探し回るようになりました。
これは、帰ってきた義父が義母と話しているのが聞こえたのですが、案内係の人にオレの車はどこだ!と怒ったようです。どこに停めたのかわからなくなり、ウロウロしている時に巡回している係の人を見つけて、オレの車はどこかな?と聞いたそうです。
もちろん、係の人は(私にはわかりません)みたいに答えたのでしょう。
義父は、「あいつらオレの車がわからないっていうんだ!駐車場係のくせにわからないとはなんだ!って怒鳴ってやったよ」と鼻息も荒く話しています。
忘れ物は自分の車
そしてとうとう、ある夜。車をどこに停めたか忘れて、義父が歩いて帰ってきました。
普段はほとんど私たちを無視するのに、そんな時だけ「困ったなあ、車なくてよ」と話すのです。
路上駐車も困りますが、コインパーキングだと料金も気になります。
仕方なく私たちは義父の車を探すことにしました。
この日どこに行ったかを尋ねても、そこはのらりくらりとかわされます。
手がかりも話さずに探してこいというのでしょうか。
お風呂に入り、夕食を食べ、寝る気になっている義父から無理やり車の鍵を取り上げ、手帳からこの日の予定を見て場所を割り出しました。
その近所まで私の車で行って探すことにしました。
数か所目のコインパーキングで義父の車を見つけて、夫が乗って帰ってきました。もうすぐ朝です。
起きてきた義父に鍵を返しながら、
車、ありましたよ
どこそこの駐車場に停めてあって
料金は〇〇円でしたよ
と領収書を見せて説明しても無視です。
義父の中では、そんなことはなかったことにされていました!
私たちは夜中まで探したのに…
ゴミだらけの車内
車内の様子も変わってきました。
そして、クルマの中にいろいろな物を置きっぱなしにするようになってきました。
座席の下にも物が散乱するようになりました。
もし、ブレーキが踏めなかったら。
アクセルペダルに何かがひっかかったら。
もうこれ以上、義父に運転させるのは危険な状態です。
人をひいてからでは遅いですから。