パソコンにも認知症の影

パソコンを使い始めたのは、認知症外来に通院する10年くらい前のことです。

ワープロからノートパソコンに変えて数ヶ月たったころ。
どうにかパソコンで書類を作っていた義父ですが、段々とひとりごとが頻繁になってきました。

 

パソコンも認知症

相変わらずパソコンの中で使うのは一太郎だけですが、義父のパソコン熱は冷めず、毎日せっせとキーボードを叩いています。

この前まで作っていた書類を見ながら、少しずつ入力しているようです。

 

ひとりごとが頻繁に

「困ったなぁー」「なんでだろうなー」「これが、ここ、か?」
ずっとブツブツ言っています。

時々手伝っているので義父のスキルがわかります。
義父は昨日できていた操作ができなくなったのです。

「わからねぇなぁ」「困ったな」

パソコンの前にいる間、ずっとひとりごとを言うようになってきました。

 

アイコンがいっぱい

義父のデスクトップは、ファイルアイコンでいっぱいになっていました。

義父の許しをもらってファイルの整理をしていると、原因がわかってきました。
一太郎では、自動でバックアップファイルができるらしいのです。
そしてそれは読み取り専用ファイルなので、いくら編集しても同じ名前で保存できません。

ファイル名を変えることができなくなった義父には「保存して閉じる」ことができず、広げっぱなしのファイルがデスクトップにいっぱいある、という状態でした。

現実の部屋と一緒だなーと、変なところで感心してしまいました。

 

義父専用のマニュアル

つきっきりで教えることもできないので、義父が一人でもできるように手書きのマニュアルを作りました。

 

話し言葉で

義父がよく使う操作を、いつも義父と私が話しているのと同じ言葉でマニュアルにしてみました。

アイコンやポップアップの言葉は、見たまま図にしました。
マウスの操作も「クリック」ではなく「カチカチッ」としたり、ドラッグは矢印で表したりしました。

整理すると、義父がする操作はそんなに多くはないのです。

 

上書き保存

一太郎の設定を変更して、読み取り専用ファイルはデスクトップに置かないようにしました。

これで義父が見えるところには、使いたいファイルだけを置けるようになりました。
そして何か文字を打ったら『上書き保存』するように教えました。しつこいくらいに。

時々ファイルの整理は必要ですが、義父がイライラしない方が気が楽でした。

 

パソコンに貼り紙

義父の物忘れが多くなるにつれて、パソコンに貼り紙が増えてきました。

初めは印刷するときの手順についての貼り紙。

私には読めませんが、義父にはそれでわかるようでした。

私がしつこく教えた『印刷部数を1,000から1に変える』という手順です。

なぜかこのパソコンでは、印刷部数のデフォルトが1,000になっていたのです。

これ以上、紙の山を増やしたくないので必ずやることとして教えていました。

 

訛る貼り紙

よく間違える言葉の読み仮名も貼っていました。

「ひょうしょう」表彰
「すいしん」推進
「しゅっちょう」出張

たぶん、普段言ってる通りに入力すると変換できないんでしょうね。


「しょうひょう」
「っいしん」
「すっちょう」
って言ってますからね。

 

まだまだ続ける

期限のある書類は私が入力して印刷するようになりましたが、義父はそれが仕事であるように続けています。

外部の人には私が手伝っていることを言わないので、誰かが代わってくれることもありません。

 

気付いているのか

そして義父の先生は、自宅に来て教えるようになっていました。

義母はこの先生が好きじゃないらしく、義父が先生のところに習いに行っている時からいい顔をしませんでした。
なので義父は、義母がお稽古事で留守の日に先生に来てもらっていたのです。

毎回同じことを教わる義父。
さっき言ったことを忘れている義父。
文書作成はまったく進みません。

この状況をおかしいと思わない人はいないと思います。

先生は義父が認知症だと気付いていたのでしょうか。